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第29章 あたしの知らないみんな

「俺が良いって言ってるんだから大丈夫なの。」

あたしは覆いかぶさるように後ろから抱きしめられ、首筋にキスをされた。

「それより、もうすぐ誕生日だろ?何が欲しい?」

前にも聞かれて、考えておくと言ったっきりだ。

…欲しいものは決まってる。

躊躇しているとユウヤがあたしの顔を覗き込んだ。

「華が好きなものを買ってあげるよ。」

「お金じゃ…買えないもの…だよ。」

「お金で買えないもの?」

「うん。ユウヤと去年の夏みたいに一緒にゆっくり過ごしたい。実はリツと、夏と春さんの家に1週間行くことになってるの。去年は工事中だった露天風呂も完成したんですって。」

「1週間は無理だろうけれど、2-3日なら大丈夫かも。黒田さんにスケジュール確認してみる。」」

ユウヤはテーブルの上の携帯を掴んだ。


「えっ。今?」

あたしはあっけにとられた。

…この行動力というか実行力は見習わないといけないわね。

「うん。早い方が良いでしょう?」

黒田さんにすぐに電話を掛け、あっと言う間に決まってしまった。

「さぁてと♪これで楽しみが出来たから、仕事も頑張れる。」

ユウヤは嬉しそうに笑ってあたしを抱きしめると首筋にキスをした。

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