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夏休みに入り、あたしはユウヤの家で昼間過ごす事が多かった。

静かで広いユウヤの部屋でする勉強は家でするよりも捗る気がした。昼間の時間なので、パパ達には図書館へ行っていると嘘をついた。何も無いと言っても、嫌な顔をするのは良く判っていた。

今日もいつもの様に昼間少し帰って来て、昼寝をしてから仕事に戻ると言っていた。あたしの為にわざわざ帰って来てくれていることは良く判ったけど、それでも会えるだけであたしは嬉しかった。

―――　ピンポーン。

お昼過ぎにチャイムが鳴った。

…あれ？ユウヤなら玄関から勝手に入って来る筈だけど…。

あたしはモニターで確認すると声を出しそうになった。

…NEXTのミーナ？

帽子とサングラスをしていたけれど、サングラスをわざわざ外してモニターに顔を近づけていた。

「ユウヤぁ？居ないのぉ。おかしいなぁお昼に帰るってスタジオで言ってたのに。」

…ど…どうしよう。

あたしはそのままオロオロしていた。確かにユウヤは昼過ぎに帰って来るとメッセージが来たばかりだった。
インターフォンの傍で耳を澄ませていると、玄関の方で声が聞こえた。

…ユウヤとミーナだ。

あたしは慌ててバッグの中に勉強道具を押し込み、寝室へ隠れた。

…あっ。いけないっ！靴。

あたしは慌てて玄関へ靴を取りに戻ると、丁度玄関の前で鍵の音をさせてユウヤが話しているのが聞こえた。咄嗟に寝室の大きなクローゼットの中に荷物を持って隠れた。