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第31章 どっちがホント?

「なぁ華。」

華は身体にタオルを巻いて、ソファに身体を投げ出す様にして寝ていた。タオルは太ももの中間あたりまでだが、華が動くたびにドキドキしてしまう。

「ずっと…ずっとあたしを騙してきたの?」

華は俺に静かに聞いた。

「騙すつもりじゃ無かった。」

華に知らせることがかえって気を使わせそうな気がしていた。鍵を渡してあるのに、部屋に来る時には必ずメールをよこして、疲れて無い?と聞いて来た。

「相談を聞きながら、笑ってたのね…酷い。」

華は怒っていた。

「そんなことするわけねーだろっ!」

「じゃぁ…何で…。」

「言える訳ねーじゃん。空は印象最悪だってお前言ってたじゃん…。それに学校にも内緒なんだ。だから誰にも言わなかった。」

「酷いよ…。」

華は両手で顔を隠して泣いた。

「ごめん…華。お前を傷つけるつもりは無かったんだ。」

「このことは、リツと夏は知ってるの?」

華は手で涙を拭きながら俺に聞いた。

「いや。知らない。知っているのは春さんと真啓だけだ。ふたりには俺が口止めしたんだ。」

華はソファーから身体をゆっくりと起こし俺を見た。

「あたし…混乱してしまって…少し、ひとりで考える時間が欲しいの。」

「…わかった。」

俺はそう言うしか無かった。

…いつかこうなる時が来ると思っていた。

「もう大丈夫だな?」

「うん。有難う。」

俺は自分の部屋へと戻った。

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