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第32章 満月の夜

――― コンコン。

ドアを叩く音は廊下に響いた。

――― ガチャッ。

小さな音がしてドアが静かに開いた。

「華…。」

空は上半身裸で、下は薄手のパジャマのズボンを履いていた。ちょっと驚いた顔をしてあたしを部屋に入れてくれて、鍵をそっと閉めた。

「来ないと思った?」

あたしが笑った。部屋は、真っ暗で、大きく開いたテラス窓からは満月が覗いていた。

「正直言うと自信が無かった。」

空が笑った。

…顔が見えない方が、緊張しなくて良いかも。

「空が自信が無い時なんてあるの?」

自信家の空に緊張することがあるかとちょっとおかしかった。

「あるよ?こんな時…。」

そういって空はあたしを抱き寄せた。

――― ドキドキドキ。

…静まってあたしの心臓。

「華?緊張してるの?」

空はあたしの髪を優しく撫でていた。

「うん…ちょっと怖いの。」

あたしは空の胸の中で大きく深呼吸をして、空にしっかりと抱き付くと、空の心臓の音が聞こえた。

「ねぇ…空も緊張してるの?」

あたしは空を見上げた。

「うん。緊張してる。」

空は笑っていなかった。ゆっくりと目を閉じると空の顔が近づいてくるのが判った。

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