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第33章 助っ人

「この間,黒田さんにも確認したんだ。」

「ごめんね…あたしが余計なこと言ったばかりに…。」

あたしが出会った時の空はとても疲れていた。だからつい言ってしまった。

「違う。お前のせいじゃない。俺もずっと違和感を感じてた。疲れてるから考えるのを放棄してたんだ。」

空はあたしの眼をじっと見て言った。

「ありがと…な。俺はあの一言で救われた気がしたんだ。」

空にお礼を言われる日が来るなんて何だか恥ずかしかった。あたしは空が手に持っていた焼きそばパンを齧った。

「あっ!おま…。」

どんな形でもいいけれど、空にはユウヤとして歌い続けて欲しいとあたしは思った。

「良いじゃん。いっつも売り切れてるんだもん。一口ぐらいくれたってっ!」

…息切れしちゃったら休めば良いよ。

「それ一口じゃねーぞ!!」

「だって空がずっと食べないのがいけないんだよ。」

「お前…買って返せっ!」

「判った。買って返すからそれ頂戴。」

「嫌だね。」

そうだいつもの空はこんな感じ。落ち込んでいる空は似合わない。

「あたしじゃ空の相談相手にはなれないんだよね。」

でもどうやって励ましたら良いのかも分からない。ただ出来ることは傍にいることだけ。

「まぁな。」

…やっぱり。そうだよね。

空は隣でにやにやしていた。

「ちょっと何よ?」

「いつもなら、ひっどーいとかって言うのにいわねーから。」

「なんかやっぱり空は大人で、違う世界の人なんだね。」

あたしはちょっと寂しくなった。

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