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第35章 卒業

あたしは、空と会えない時間で車の免許を夏と取りに行った。パパ達もママも反対した。だけど、通学するのに便利なので夏とふたりで説得した。

リツと夏の関係がギクシャクとしたままこの日を迎えた。

――― 卒業式。

学年トップの空が不在なので、あたしが卒業生代表で答辞を述べることになった。忙しいのにパパ達もママも卒業式に来てくれた。

「よう♪」

1週間振りに空が学校へやってきた。学校中の女子が黄色い声で空を迎えた。あたしたちのクラスには、手の空いている先生達が見張りについて、生徒の振りをしたファンや在校生が押し寄せないように対応していた。

「よう♪…じゃ無いわよ。」

空は少し痩せた気がした。あたしはついつい憎まれ口を言ってしまった。

「あーやっと卒業かぁ。卒業まで正体がばれずに済むと思ったんだけどなぁ。」

同級生たちも、空の周りに集まって来て代わる代わるに話をしたが空は面倒臭そうにしていた。空とあたしは話す機会が殆ど無かった。イライラした空が大きな声を出した。

「俺と今泉 華は付き合ってます。卒業式ぐらい静かにふたりっきりで話をさせてくれよ。」

―――ええええええーーーーっ!!!

空は隣の席に座るあたしの肩をぐいっと抱き寄せた。

…ああ。馬鹿っ何言ってるのよっ!!

「俺、華と話すのも久しぶりだから、協力して♪ねっ。」

空は飛び切りのユウヤVer.笑顔でクラスメートに微笑むと、あたしの手をぐいっと引っ張って、教室を飛び出した。

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