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第2章 転校生

――― 学校

「華 おはよ♪」

リツが声を掛けてあたしの前に座った。

「ねぇ。今度のprototypeのライブ行けそう?」

リツとあたしが嵌ってるロック・バンドだ。ボーカルのユウヤは日本人離れしたその歌唱力とルックスで、人気急上昇中だった。

「もちろん♪行きたい~!チケット代払うから一緒に取ってくれる?」

リツはインディーズ時代からのコアなファンで取りにくいチケットもかなりの確率でゲットしてくれる。

――― ガラガラッ。

「あー突然だが、転校生を紹介する。」

皆ガタガタと席についた。

担任の後ろから学生服には不釣り合いな背の高い男子学生が入ってきた。茶色のショートヘアのツーブロックで爽やかな感じ。黒縁の眼鏡を掛けていて、優等生の印象を受けた。

「うーん。80点。」

リツが囁くと、男子学生がジロリとこちらを見た。

「やだ 聞こえちゃったっぽいよ。」

あたしは慌てて目を逸らした。

「古水流 空(こずる そら)君だ。10歳までイギリスに住んでいて、お父さんの仕事の関係でこちらに来たそうだ。」

担任が空の名前を黒板に書いてる間にも、睨むようにこっちを見てた。担任に促されて不愛想に挨拶をした。
「宜しく…。」

ポケットに手を突っ込んだまま、だらしなく立っていた。

…なんかちょっと嫌な感じ。

「じゃぁ…今泉の隣が空いてるからあそこに座って。」

「はい。」

…げっ。

「今泉は学級委員だから、分からないことがあったら何でも聞け。今泉宜しくな。」

リツが振り向いてにやにやと笑ってる。

「はい。判りました。」

あたしはリツを睨みながら返事をした。

「それから一通り休み時間に校内を案内してやってくれ。」

担任はあたしにアイツを押し付けた。

「はい。」

…で…デカい。多分、パパよりちょっと低いぐらい?

黒縁の眼鏡はかなり度がきつそうだった。ドンとバッグを机に置き、椅子を引いて気怠そうに座った。

…優等生風に見えたけど、なんかちょっと違うかも。

「今泉 華です。宜しくね。」

最初が肝心。あたしは愛想よく笑顔で挨拶をした。

「ああ…。」

椅子に斜めに座り怠そうに返事をした。

…やっぱ感じ悪い。

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