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第7章 空の秘密

「その手じゃギターは暫く弾けないぞ…全く。」

黒田は包帯が巻かれた俺の手を見て大きなため息をついた。

「あーあ。ユウヤは、良いご身分だねぇ。撮影をドタキャンしたかと思えば、今度は怪我かよ。」

キーボードのリュウは、俺に嫌味を言った。

「しかも、仕事が出来るのは週末だけって何だよそれ。」

ドラムのトオルは、何も言わず控室でタバコを吸いながら、俺の手を見てた。

「まぁまぁ喧嘩は止めて下さい。」

バンドで俺が活動が出来るのは学校が無い週末と夜だった。年齢もバンドのメンバーには20歳と偽っている。マネージャーの黒田がそうすることを俺に勧めた。Prototypeのメンバーは入れ替わりが激しい。それが俺のせいなのも、そのことで黒田に迷惑が掛かってることも判ってる。

「早く練習しようぜ。」

いつも仲間の調整役をしてる、ベースのトモキが言った。

「これ…新曲。」

ぱさりと、皆の目の前のテーブルに投げるように置いた。プロトの詞も曲も、俺かキーボードのリュウが書いている。バンドメンバーの眼の色が変わり、それぞれ楽譜を覗き込んだ。

「なんか…ちょっと印象が違うけど、いい感じ。」

楽譜をみつつ鼻歌でメロディーを口ずさみながらリュウが嬉しそうだった。皆、文句は言えどプロだ。音楽に関しては、厳しいし拘る。いつもリュウとはそれで喧嘩になることが多い。

「あっ♪俺ソロのパートまであるじゃん。」

今度の曲について、文句はなさそうだった。それぞれが楽譜を受け取り、スタジオへと入っていった。

「新曲も気になるでしょうが、まずは今の曲の事をお願いしますよ。」

黒田が静かに微笑んだ。

「では、私は23時にここに迎えに来ますから。」
「判った。」

俺もスタジオへ入った。

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