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第2章 転校生

「…で? いつまで俺に抱き付いてるの?」

通り過ぎていく生徒達がクスクスと笑った。あたしは顔が真っ赤になるのを感じ、慌てて空から離れた。向こうから夏が友達と歩いて来ていた。

…見られたかな。

あたしはドキドキしていたが、夏は何も言わないで通り過ぎていった。

「お前さ、助けて貰ってありがとうぐらい言えないの?」

空は意地悪そうに笑った。

「あ…ありがと。」

…ホント 嫌なヤツ。

「それにお前なんで埴輪なの?それじゃ風が吹いてもパンツ見えないじゃん。」

空はつまんねーのとあたしの背中に向かって言った。

「なんであたしが、あなたにパンツを見せる状況をつくらなくっちゃいけないの?馬鹿じゃない。」

…腹がたつなーもうっ。

「はなったれ華さん…お言葉を返すようですが、馬鹿って言葉は、自分より馬鹿な奴に言う言葉ですよ?」

「あら…そうだと思ったから言ったの。あたしだってそれぐらい知ってる。」

…何なのよこいつ。あったばかりなのに憎まれ口ばっかり。性格は落第点どころか、マイナスじゃない!

「もうすぐ中間なんだろ?お手並み拝見だな。馬鹿じゃないことを証明できるじゃん。」

音楽室が見えてきた。

「もうあたしに話しかけないでくれます?」

「なんで?」

…こいつ馬鹿だ。

「なんでって、あなたのこと好きになれそうに無いから。」

音楽室が見えてきた。

「心配すんな。俺だってお前みたいな優等生ぶってる女なんて大嫌いだから。」

丁度先生がカギを開けたところだったらしく、クラスメートがドアに吸い込まれていく。

あたしは空の言葉を無視してさっさと教室へ入った。


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