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第9章 バレンタイン

―――― 昼休み。

「またおばあちゃんがプロトのチケット取ってくれたよ♪」

あたしはリツにそっと告げた。

「えっ。まだ発売になって無いよ。」

「うん♪それがね…またコネクションだってさ。」

「華のおばあちゃんってさ…。」

「何だか伝手があるって言ってた…けどあんまり教えてくれないんだよね。」

あたしのおばあちゃん、春さんには秘密が多い。

「そうだ、華は新曲聞いた?3月にはアルバムリリースだってさ♪」

「うん聞いた。」

「素敵なメロディーだよねぇ。」

リツがうっとりしていた。

…そうだあたしは真啓に聞かなくちゃいけないことが
あった。それに空にも。

「ねぇ空。この曲なんだけど、どこかで聞いたこと無い?」

あたしはYoutub●でその曲を空に見せた。

「Prototypeの新曲だろ?」

あたしは空の顔をじっと見つめていた。

「空が作って聞かせてくれた曲に似てると思わない?」

「別に…どーでも良い。」

最近の空はお疲れモードだ。

「あたし真啓くんに見せてこようと思うの。空も音楽室来るでしょう?」

「あー面倒くせぇ。いかね。」

机に突っ伏したまま、いつもよりも輪を掛けて疲れているようだった。

「空ってさいっつも疲れてておっさんみたい。」

「お前…少し黙れ…煩い。」

あたしは空を無視してリツに音楽室に行ってくると告げた。

「あら♪華さんまた音楽室デートですかぁ。」

リツがにやにやしながらあたしに言った。

「そんなんじゃないからっ!」

あたしは携帯を持って音楽室へと向かった。

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