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第9章 バレンタイン

あたしは真啓のところへ行った。

「空くんが、用事があるからって呼び出されたんだけど…。」

真啓の携帯が鳴り、画面をチェックすると真啓の耳が赤くなった。

「はい…これ。何度もクラスに行ったんだけど、女の子達に囲まれてて、入る隙が無かったの。」

あたしは、ゴ●ィバのチョコを渡した。

「あ…ありがとう。華ちゃんが僕にくれるなんてとっても嬉しいよ。」

「なんか改めてそう言われると恥ずかしいんだけど、いつもお世話になってばっかりだから。」

チャイムが鳴った。

「そうだ。今週末は母も父も居るんだ♪兄弟にも紹介したいし。」

真啓は去り際にあたしに聞いた。

「そっか…兄弟が居たんだよね。楽しみ…あ…でも一緒に勉強するんだったよね。」

あたしはついつい嬉しくなってはしゃいだ。

「別に…勉強だけで無くても遊びに来てくれて良いんだよ?」

温かい日差しが廊下の窓から差し込み、あたしの背中をぽかぽかと温めた。

「でも…ピアノの練習で忙しいでしょう?あんまり邪魔したく無いの。」

真啓は優しく微笑んでいた。

「練習は大変だけど、僕は華ちゃんと一緒にいるだけで頑張れる気がするよ。」

「そっか♪」

「じゃぁ。これありがとう。」

真啓は大事そうにあたしのチョコを抱えて去った。あたしはその後姿を見届けてから、教室へと戻った。

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