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だが、疑問に思ったことが一つだけあった。

『何でゴミの時だけ怒らなかったんだろう？』


正直者が好きな性格で、本音を言う人なら、タカシに対して、毒舌な言葉を吐きだすはずだ。

あゆみはそう考えていた。


昼休憩
あゆみは、職員室に入っていった。


コンコン…



『失礼します。
２年４組の沖田あゆみです。溝坂先生に用があって来ました。』


溝坂が


『何だい？』


と、無表情なのに
何故か、あゆみは、暖かい気持ちを感じとった。


職員者の視線は
冷たく、こっちにじっとにらんでいた。


どうやら、新任式の一件から溝坂は
職員たちに煙たがれていた。


溝坂は席を立ち
あゆみの手を握りしめた。


『沖田、ここはむさ苦しいから出ていこう！』


そういって、職員室を去っていった。


学校の屋上の外へ連れて行かれ、
強い風が吹いていた。


『どうだここは気持ちいいだろう。
なんせお前ぐらいの年の頃は、昼休憩をここでほとんど１人で過ごしていた』


あゆみは、溝坂に親近感を少し感じていた。



『先生？』


『なんだい？』


『先生どうして、始業式の挨拶であんなこと言ったのよ？』


『さっきも言ったハズだ。
挨拶もクソ長いし、生徒たちも、退屈で帰りたいくせに
陰でコソコソ文句言うから腹がたった！』

『最近のガキはKYやら草食系とか、大人しすぎだ。
もっと堂々して欲しい』。
『今の社会は自分で動かなきゃ、生きていけねえんだ。
なのに、ちょっと本音を言っただけで組織とかは、クビにさせる。
こんな矛盾ありえないよ。』

とあゆみに語った。

『本音なんですね？』

あゆみは、溝坂に問い詰めた。


『ああ！その通りだ！』

溝坂は笑顔で答えた。