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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 球也の突然の行動に、全員が固まった。


 今までの球也じゃない。全員がそう思った。


 だが、一番若い、球也の声で、気持ちを奮い起たせることができた。


 プーロンは鼻をポリポリと掻き出した。


「あのさぁ、小さいのがまとまって、どうこう言ったって、出せる力は決まっておるだろぅ。まあ、この世界を手に入れるのは容易なこと。まずは、きさまらと遊んでやるわ」


 それに返すように、球也は言った。


「よし、じゃ、僕がいまから、このボールをお前の顔に当ててやる。これが耐えられるかな?」


 プーロンは頭を傾げる。


「そんな飴玉みたいなものを、わての顔に当てるというのか? まことにしょぼいのぅ。よし、見事に当てられたら、両手を上げてギャーと言ってやる。はずせば、きさまらを三秒で消してやる」


 コウヤは唖然としていた。


「あの……あいつ……帝王だよな? あの帝王に対しても、ちょけ通してのせていく球也の喋りは、ある意味重要無形文化財だぜ」


 莉子はうんと頷いた。


「物怖じせずに、ちゃかして自分のペースに持っていくなんて、コウヤもキュウの真似してやってたもんね」


「俺の場合は相手の神経を逆撫でしてたからな。だが、なんだろうな……あいつが一人立ってるだけで、なにかやりそうな気がする」


 コウヤの予想は的中した。



 ボールを上に投げた。





 バットを振った。





 球也は豪快に、空振りした。



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