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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 球也の突然の失態に、全員が固まった。


「待った! 待った! 空振りはノーカウントっ!!」


 球也は、今のは無しと、必死に訴える。


 だが、プーロンは頭を横に振る。


「ならん、ハズレはハズレだ。悪いが、ここでおさらばだ」


「えっ、帰りはるんですか?」


「意味が違うわっ! たわけ者がぁっ!!」


 このやり取りに、コウヤは感心していた。


「キュウはすげえな。よく、あんな化け物にボケを振って、ツッコミを引き出させるな……」


「ちょっと、変なところで感心しないの!! どうするか考えなさいよ!!」


 莉子はコウヤの左腕をポンと叩くと、今にも泣きそうな表情を見せた。


 すると、勇樹が冷静に言った。


「いや、これがやつの強みだよ。あのノリが、帝王にはまると、もうペースはこっちのもんだ。運も向いてくるぜ」


 その意見に誰もが頷いた。


 そんな中、輝だけは目を潤ませていた。


「なんだろうな……俺達大人が若者を引っ張ってるつもりでも、知らず知らずのうちに球也くんがペースを掴んでるような気がする」


 それにコウヤが応えた。


「確かに、闘いとなれば俺達がいろいろしてきたけど、この世界でまた俺達を集めたのはキュウじゃねえか」


 いや、うちの力や……と、ソーヤは言いたげだった。


 そんな中でも、球也とプーロンのやり取りは続いていた。



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