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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 最強のパワーリーフを出した後で、そんなに力は残っていないはずだった。


 だが、ソーヤは限界を超えた。


 プーロンの足元にある木や草が急激に伸びはじめ、瞬く間に全身に絡み付いた。


「ぬおぉっ!! なんだこれはっ!!」


 プーロンの体が伸びる草木によって、締め付けられる。


「おのれ……これは、精霊の力か!?」


<そう、うちの本気やで!! あんた、そこから動きたくないんやろ!! だったら、その場に止めたるさかい、覚悟しいや!!>


「わてが、ここから移動しなかったのは、下手に動くと足の小指が悲鳴をあげよるからだ!!」


 プーロンは足の小指をぶつける恐怖と戦っていたため、下手にこの場所から動けなかった。


<帝王でありながら、まあまあビビりやないかいっ!!>


 プーロンにそう言い捨てた後、ソーヤは倒れこんた。


<球也ぁ、後は……頼むよ>


 弱々しく声を出した小さなソーヤを、純化が両手で抱えあげる。


「ソーヤ、すごいね。ほんと、すごい」


 純化はソーヤに声をかけるが、返事がくることはなかった。


 球也が純化の元に近寄った。


「純化さん、僕の前に、こいつをポーンと投げてほしい」


 そう言って、1つのボール状のものを手渡した。


「これって……」


「さっきは、帝王を油断させるためと、ソーヤの回復のための時間稼ぎで、わざと空振りをしたんや。こっちが、本番用の特殊なボールやねん」


 それは、ボールと呼ぶには、あまりにずっしりと重く、黄金に輝いていた。



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