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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「いましかない。僕は絶対に打つ。だから、投げて!!」


 球也は5、6歩ほど離れ、プーロンの前でバットを持って構えた。


 純化はゴクリと息を飲むと、ソーヤを床に寝かせ、両手を使って、そのボールを球也の前に投げた。


 球也の動体視力がボールをとらえた。


 鋭くなった計算力と判断力がバットの当たる位置と、間違いなく飛ぶ方向を割り出す。


 そして、今まで培ってきた球也の野球センスが、すべてをクライマックスに誘う。


「うわぁぁぁーーっ!!」


 声を張り上げ、スローに見えるボールが、止まった瞬間目掛け、バットを振りこんだ。


 手に強くて硬い衝撃が伝わる。


 球也には100%の自信があった。


 球也の目に見えるのは、プーロンの額。


 そこには、青い石が埋め込まれている。




『カキーーーーンッ!!』



 カン高い金属音と共に、黄金の球、別名「金球(きんたま)」は一直線に飛び出した。


 その方向は試合なら、間違いなくホームラン確定。


 だが、この場合のホームランは……。


「当たれぇーーっ!!」


 球也の叫びは届いた。


 金球(きんたま)はプーロンの額の石を破壊し、その内部にまで速度を落とすことなく、突き進んでいった。


「グオオオォォォーーッ!!」


 全身に熱い金の光が流れ込み、それぞれの神経の働きが食い止められる。


 全身に散りばめられた沢山の顔は苦痛な表情を浮かべ、プーロンの体から抜け出るように、ポトリポトリと落ちていく。




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