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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

『バリバリバリバリ!!』


「ぐあああぁぁぁぁーーっ!!」


 皮膚が剥がれ落ちる音と、プーロンの苦しみの雄叫びが天を突く。


 全身のウロコがはがれ、赤い生肌から煙が立ち上る。


「あいつ……やりやがった」


 闇の神仏と闘っていた、コウヤの拳が止まった。


 プーロンのオーラが薄くなってきたのか、闇の神仏達は急にフラフラとなり、萎れるように、小さくなっていく。


「うわっ、こいつらも影響あんのかよ……でも、助かった」と輝は、安堵の表情を浮かべながら、へたりこんだ。


 純化は驚きのあまり、言葉を失った。


 バットを持って仁王立ちする球也の肩を、ソッと触れると、かすれる声で言った。


「な、なに? あの金の球は……」


 球也はニッと歯を見せて笑った。


「あれは、神の精霊なんよ。僕と奈美ちゃんで、精霊の大地まで行って手に入れてきた、最強の精霊。ソーヤがいなかったら、呼び出せなかった」


 神の精霊。アビラの水を手に入れるために登った塔の最上階から、虹と光の橋を渡って辿り着いた精霊の大地。そこに存在する、すべての精霊の力を持った最強の精霊。やっとのことで手に入れた最強の精霊は最強の相手に対して、使うことができた。


 球也はソーヤに目をむけた。


「ソーヤがいなかったら、なんもできへんかった。僕らやない。闘って勝ったんはソーヤなんや」


 球也はソッと手で、ソーヤの体を撫でた。


 プーロンの皮膚がポロポロと崩れ落ちていく。その中から、金の光に包まれて、黒い布をはおった、一人の男が出てきた。


 金の光はその男を球也の目の前に落とすと、光のみが人型になった。


 決まった形を持たない、神の精霊。人型になるのも光に包まれて謎のままだった。


「ほんま、おおきに。精霊ってすごいわ」


 神の精霊は球也の手のひらの上で、石となった。


「おい、ところで、こいつは誰だ?」 


 闇の神仏と闘い、傷だらけとなったコウヤが、神の精霊が連れてきた男を指差した。




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