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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 男の周りに、みんなが集まってきた。


 プーロンの姿はすでに無く、闇の怪物や妖精だった時の姿の者達が横たわる。


 闇の神仏達は黒い石仏と化していた。


「ひょっとしたら、こいつが闇の者の真の姿かもな」


 勇樹はそう言って、うつぶせている男の顔を上げた。痩せ顔で50代くらいに見える。


「あっ!! こいつ……」球也が声を上げた。


「キュウ、知ってるの?」と莉子が問う。


「いや、知らんわ」


 まったく会ったことのない、知らない顔だった。


「おい、お前はなんだ?」と輝が男に尋ねる。


 男は観念したのか、ふてくされながら言った。


「俺の名は……ヌカーだ」 


「ヌカー!?」球也は声を上げた。


「えっ!? キュウ、知ってるの?」と莉子が聞いた。


「いや、名前は知ってるけど……ヌカーって、かなりジジイでしたよ。このおっさんは、まだ、ちょっと若いような……」


 球也は頭を傾げながら、しっかりと顔を眺めた。


「わしがヌカーだ。こっちが本当の顔だっ!!」


 ヌカーは舌打ちしながら、眉間にシワをよせる。


「えっ!? あのヌカー?」


 球也は不思議そうに見る。


「あの世界で、わしと向き合って争っただろうが。顔は違うが、お前が知ってるやつと同一人物だ」


 ヌカーは腕を組んで、あぐらをかいて座った。


「そのヌカーがなんの用だコラァッ!!」


 勇樹が声を張り上げ、ヌカーの胸ぐらを掴んだ。


「おい、今はやめとけ。とりあえず、話を聞こう」とコウヤが止める。


「いや、てか、なんで顔が違うんよ?」と球也がしつこく言う。



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