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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 ヌカーはイライラして言った。


「あぁーっ! だから、こいつは嫌なんだ。わしが、闇の者の現、最高責任者であって、あの姿が仮の姿なんじゃっ!! こっちが真のわしなんだ!! わかったか!!」


「ようわからんけど、それでええわっ!!」


 なぜか、球也は逆ギレだった。


 ヌカーは一度うつむくと、チッと舌打ちをしたが、頭を上げた瞬間、顔色を変えた。


「な……きさまは……」 


 ヌカーは球也の後ろを指差した。


 一同、その方向に目を移した。


 そこには、白い布を羽織った40代半ばくらいの女性が立っていた。


「えっ!? だれ、このおばちゃん?」と球也が言った。


「いや、おばちゃんではなく、私はオウバー・サンです」と女性はオウバー・サンと名乗った。


「その、おばあさんがなんのようだ?」


 コウヤが腕を組んで言った。


「私はおばあさんじゃない、オウバー・サンです。光の長です」


 オウバー・サンという、この女性は光の者で、ヌカーとは対照の存在だ。


 オウバー・サンはヌカーに歩み寄り、目の高さまでしゃがみこんだ。


「ヌカーよ。お前も懲りない者よのう。また妖精として姿を変え、静かに眠りについてはどうだ?」


「邪魔をしやがって……後一歩で、人間を支配できたと言うのに……」


 ヌカーはそう言うと、ガックリとうなだれた。



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