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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「しかし、我々は、人間には勝てぬ。いま、この世界に君臨するのは人間なのだ。地球上に生物が生まれ、人間と言う知識を持つ存在が生まれ、やがて、神を生んだ。それが私達だ」


 球也達はオウバー・サンの言葉に黙って耳を傾ける。


 人間が神を生んだ? どういうことなのだ? 


 オウバー・サンにヌカーは返した。


「それは我々に姿を与えただけのこと。元々の姿なき我々は、宇宙を生み、惑星を生んだ。そして、この青い地球に我が望みを託した。それが水と緑と命あるものの楽園」


「そうです。我々は光と闇との境はなく、動と静、つまり、動は様々な動く生物、静は植物と水や大地という無機物の存在を世に出したのです」


 オウバー・サンは一人一人の顔を見て話した。


「そうか、海には魚や貝などの動くものがいれば、海藻なんかもいる。地上には、哺乳類や爬虫類、草花や木もある、そんな分け方してんだな」


 勇樹はウンウンと頷きながら言った。


 ヌカーが続けて話す。


「やがて動の者は、人間と言う存在を生み出した。人間には他の動物とは違う感情と、潜在能力を受け備えておる。それから想像力という力を受け、神という存在を生み出した」


「ちょっと待って、じゃ、あなたは神じゃないんですか?」と莉子がオウバー・サンに尋ねる。


「私達を神として存在を位置付けたのは、人間なのです。生きる者は必ずこの世を去る。体を抜けた魂は輪廻転生を繰り返し、この世に恨みや念がある者、思い残したことがある者は霊となりこの世にさまよう。また、異界の能力を備え持つ選ばれし者は、神として生まれ変わる。そう、あなた方が常日頃、神仏として手を合わせる存在に……」



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