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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 コウヤが「そうか、中国のことを怒ってるんだな」と言うと、ヌカーが「国を限定するでないわっ!! 人間そのものじゃっ!!」とそれに反応した。


 人間による環境汚染と自然破壊。それが闇の者達の怒り。


 悩み事がありそうな人間に声をかけ、すべてが叶うと言って、鏡の向こう側の変わり果てた自分達の世界に誘い込んだ。


 そして、光の神仏達が送り込む怪物をも退治させ、打ち破る相手が闇の神仏と偽って、光の神仏を人間の手によって始末させようとした。


 光の神仏が始末されれば自分達を攻めてくる者がいなくなり、後は人間を始末しようとしていた。


 オウバー・サンは言った。


「神仏達がいなくなれば、後は、私のみ。ですが、私とあなたは表裏一体。私を始末すればあなたも始末される。今回はあなたが恨む人間にしっぺ返しをくらったのですよ」


 ヌカーはなにも言わず、ただ、うなだれていた。


 オウバー・サンは続けた。


「あなたの暴虐的なやり方が我慢出来なくて、私はあなたをひとつの世界に変えて、思いや望み、すべての細胞を妖精と化したのです。妖精となったあなたの分身はそれぞれの意思を持ち、それぞれが普通に暮らしていたのではないですか? 中には、闇の一族だという事実を受け入れられず、私、そして人間と共存することを望んでいた者もいるでしょう」


 ペタロのことだ。


「ヌカーよ、まだ、動と静の頃の間柄を忘れていなかったのですね。だからこそ、その者の存在が生まれた。違いますか?」


 ヌカーはうつむきながら、床を拳で、何度も殴った。


「言うな……もう、修復は出来ない!! その心はすでに潰して消した。オウバーよ、お前はこの俺の永遠の敵だ」



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