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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「なんやったかなぁ……」


「忘れてるやないのっ!!」


 そう言ったのは、オウバー・サンだった。


「こんな時に、光の者にまでツッコミさせるのかよ……」


 勇樹は呆れ顔で言った。


 オウバー・サンはソーヤの亡骸を抱きしめ、天を指差した。


「私が責任を持って、このソーヤと言う者を、精霊の大地に連れて行ってあげます。その地で静かに眠りにつくことでしょう」


 ソーヤは故郷に帰る。それが一番いいと、皆が思った。


「わしは諦めないぞ。人間が環境汚染や自然破壊を繰り返すようなら、またお前達、人間を滅ぼしにくる。それに、オウバーよ。きさまも人間と言う現代の悪魔を生み出した罪を償え。わかったな」


 ヌカーはそう言って立ち上がると、オウバー・サンに人差し指を突き付けた。


「私は悪魔を生み出したつもりはない。ここにいる方々にしてみれば、あなたこそ悪魔と成りうるわけですよ。それは私にも責任はある。責任を感じているからこそ、私は人間に贈り物をしました」


 オウバー・サンは微笑みながら、片手で街全体を示した。


「どういうことです?」と純化が尋ねる。


 すると、オウバー・サンは球也の足下にある神の精霊と離れた場所に置いてある、鏡を指差した。


「神の精霊の力を、あの鏡にはめておきます」


 あの鏡とは、ソーヤが持ってきた、あっちこっちに移動ができる、青い石がついたどこでも鏡のことだ。


 輝は走って、その鏡を持ってきた。


「こいつをどうするんだ?」


 すると、青い石を取り外し、外した所に、金の石、つまり神の精霊をはめこんだ。


「こうしておけば、いずれまたこのヌカーが悪さをした時、この鏡が封じてくれることでしょう」



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