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修練の鏡と精霊の大地

第3章 冒険の旅へ

『バーーン!!』


 勢いよく店の扉が開いた。


 そこへ、中肉中背の中年男性が、息を切らして入ってきた。


「みんな、逃げろ!! 結界が破られて怪物が乱入してきた。このままやと街が……グアップ!!」


 最後まで言い終わらないまま、男は入り口から顔を出した巨大なトカゲの様な物に、一瞬にして飲みこまれてしまった。


「え……」とバンタリンが声を詰まらせる。


 二人はそんなこと、見てみぬふりのお構い無しの他人事。と言うか空腹を満たすため、目の前の料理に舌鼓をうっていたため気が付いていない。


「ちょっと、あなた達、食べてる場合じゃ……みんな、こっちに、早く!!」


 店内はパニックに陥り、バンタリンは裏口に逃げるように、お客を誘導する。


「いやああぁーーっ!! ちょっと、あなた達!! 早くなんとかしてよ!! 勇者なんでしょ!!」


 バンタリンは剣幕を立てて二人を激昂する。


「え? 僕達はまだ……」


「誰か他に強いのおらへんの?」


 まったくやる気がない。


「あなた達、何しにここに来たの!! 目的あってここに来たんでしょ!!」


 バンタリンは声を上擦らせ、二人を説得する。


「いや、何しにって……食事をしに……」と球也が答えて振り向いた時……。



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