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修練の鏡と精霊の大地

第3章 冒険の旅へ

「もう、きゅう坊ぅ〜、あのトカゲのお腹かっさばくのに、どんだけ気持ち悪かったかぁ……」


 純化は、半端じゃない疲労感を漂わせ、トカゲの血と体液にまみれた手を、桶に入った水で泣きながら洗う。


「外に出たらもっと気持ち悪いのいましたよ、どっちにしろ純化さん大変だったと思います」


 球也も疲れきった顔でそう言った。


 見たくもない爬虫類の体を触るだけでなく、腹を裂いて食べられた人間を救出するという未知の体験をした純化は、細々と恐怖を語りだした。


「あいつ、死んだと思ったら、首だけで口をパクパクさせてさぁ……何度も何度も手をピクンピクン動かすから、怖くて怖くて……変な黄色い汁が流れてきて、飲み屋街の裏通りの排水溝みたいな匂いするし、もう帰りたい〜」


「でも、純化さんのおかげで、何人か助かったんですよ」と球也は、宥めるように言葉をかける。


 店に入ってきたトカゲの餌食になったのは七人。うち、三人が消化や窒息で命を失った。


 床には客三人と、バンタリンが寝かされている。



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