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Perfect Romance

第1章 はじまりの唄



「大野さんと櫻井さんって…昔から仲が良いんですか?」

ずっと沈黙しているのが嫌で、つい聞いてみた

「高校からかな。大学は別だったけど」
藤島商事に入社して、取引先だからと挨拶に行って…偶然再会したらしい

そこからまた付き合いが始まったとか…


いいなぁ。そういう関係
俺は「親友」と呼べる人間はいなかったし、友達付き合いもあまりしてこなかったから
その頃は、他人と関わるのを面倒に思ってたんだよね

聞いてないのに、大野さんとの事を楽しそうに話す櫻井さんが

…少し羨ましくなった




「ここだよ」
滑るように駐車場に入って、見覚えのあるシルバーの車の横に止める

「行こうか。先に着いてたみたいだな」
「はい」


ビルの地下1階。そこはまさに「夜」に似合う雰囲気を醸し出している
櫻井さんのイメージからは離れすぎていて、想像がつかない

「入るぞ。何固まってんの?」
「いや…何か櫻井さんのイメージじゃなくて」

なんだそれ、と笑う櫻井さん

ドアを開け、中を見るとカウンターが6席と広くはないテーブル席が2つの、こぢんまりとした店だった

「お、翔さんいらっしゃい」

背の高い、これまたかなりのイケメンさん
「潤、ひさしぶり」

え、ここも知り合い?

バーテンのような格好をした「潤」と呼ばれたイケメンさんが俺を見てニコッと笑う

テーブル席の1つに座る大野さんと、もう1人。大野さんが俺たちを見つけて手を振った

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