
Perfect Romance
第9章 大野智と言う人
「名前くらい、教えてもらえません?」
パートナーなのは分かったけど、名前すら言わないって
…何なのこの人
「へ?ああ、ごめんごめん」
絶対に悪いなんて思ってないその口調
ごそごそとスーツの内ポケットに手を入れながら
「あれ?」
首を傾げたその人は
「…名刺入れ、忘れたみたい」
てへ、と笑って見せた
この人、上司に当たるんだよね?
全然そんな雰囲気ないんだけど…
「いやだから、名前…」
名刺ないなら、なくていいからさ
さっさと教えてっつーの
「で、お前は?」
「へ?」
「だって、俺の方が上司だし」
…そうでした
「相葉です。相葉雅紀です」
「知ってる」
「へ?」
何なんだ、一体
「だって、資料持ってるもん」
悪戯っぽくニヤリと笑う
「もー!!」
思わず上司だと言う事を忘れて、唇を尖らせると
「気付かないお前がバカなんだって」
その人は、声を上げて笑い出した
上司らしくない上司
これが大ちゃん…、大野智の第一印象だった
