
Perfect Romance
第9章 大野智と言う人
外回りをしている時の大野さんは、まるで別人だった
キリッと相手を見つめ、余計な事は喋らない
的確に、端的に話を勧めて相手に隙を与えない
…そのくせ、時折見せる笑顔に、「人の良さ」を作り出して
相手の緊張を解させる
そう、まさに「出来るオトコ」…なんだけど
デスクワークの日になると一変して
眠いー、帰りたいー、と子どもみたい駄々を捏ねる
「先輩!聞こえてるってば」
隣から、突っ伏してる大野さんの肩を揺すった
「…先輩って言うな、堅苦しい」
「じゃあ大野さん」
「皆が呼んでる」
「…智くん」
「幼稚園児か!」
大野さんが吹き出した
ここに来て、半分敬語もなくなってきた頃もあったのも手伝って
…もっとこの人と仲良くなりたいのもあって
「なら、大ちゃん!…ねぇ、大ちゃんは?」
これなら、誰も呼んでないよ?
「ぷはっ、…いいよ、それで」
" 大ちゃん "がニカッと笑った
「ついでに敬語も全部辞めていい?」
「ほとんど使ってねーだろ」
「じゃ、やーめた!」
…こんなにノリの良い人、初めてだ
