
Perfect Romance
第9章 大野智と言う人
「はよざいまーす!」
いつも通り、元気良くフロアに入る
相変わらず寝てるんだろうなぁ…と思った大ちゃんが
…起きてた
え?嘘、マジで?
台風でも来ちゃう?
それとも雨の代わりに飴でも降るんじゃないの?
「コラ雅紀、聞こえてんぞ」
…俺の心の声はどうやら口に出てたらしい
大ちゃんがぶすーっと唇を尖らせた
「え、だって大ちゃんがちゃんと起きてるって」
「お前、何気に失礼だぞ」
なんて言いながら苦笑いしてるし
「ごめんって、…でも珍しいから」
「それは認めてやる」
あ、認めるんだ
本当大ちゃん、面白い
「で、何かあったの?」
カバンの中身をデスクに出しながら、俺は大ちゃんに振り返った
「ああ、明日の研修がさ、友達のとこなんだ」
「友達?」
「高校ん時の友達が、偶然取引先の担当だった」
そう語った大ちゃんの顔は、凄く嬉しそうで
…それこそ、恋する乙女の顔に見えたのは気のせいかな
「明日、そいつの新人研修でうちとやるんだよ」
そう言って、俺に1枚のプリントを手渡してきた
