
Perfect Romance
第14章 今日だけはライバル
必死だった
とにかく早く紐を取りたくて
ムキになって走った
肩を組むはずが腰を抱くのも気持ち悪くて
正直泣きたい気持ちだった
幸い転ぶ事なく、1位でゴールした瞬間
「やった!」
といきなり抱き締められて
周りは拍手して盛り上がってるから、「離せ!」と叩く訳にもいかなくて
俺はギュッと固く目を瞑って
この嫌な現実に耐えるしかなかった
なかなか離してくれなくて
「紐、早く取りませんか?」
暗に「離れろ」と仄めかす
さっきから腰を触る手に嫌悪感が強くなる
「二宮さん」
名前を呼ばれて、目を開けたら
…目の前に相葉さんがいた
「公」向けの呼び方で、貼り付けた笑顔
目が笑ってないのはすぐに分かった
「櫻井さんが急ぎの用だって言ってましたよ」
相葉さんはそう言うと、さっと屈んで結ばれた紐を解いてくれた
「あ、何勝手に…!」
「競技、終わってますが…何か問題でも?」
相葉さんの鋭い瞳
もう、そこに笑顔はなかった
「あ、いや…」
怯むそいつを無視して、俺の腕を取ると
「行きましょう」
軽く会釈だけはして、俺を連れ出してくれた
