
Perfect Romance
第1章 はじまりの唄
運転席から誰かが飛び出してきた
「大丈夫ですか!?」
へたりこむ俺の横にしゃがみこむ
「だ…大丈夫です。すみません…」
「本当に?どこも当たってない?!」
俺が完全に悪いのに、ごめんと何回も謝るその人
「俺が何も見ないからいけないんです
こちらこそ、本当にすみません!」
少しずつ足に力が戻り、ゆっくりと立ち上がる
そこで初めて
その人の顔を見た
俺より少し小柄だけど、多分歳は上っぽい
…モテそうな顔をしてる
「痛いとこない?…急いでたんだよね」
その言葉に
「あー!会社…っ間に合わない…ヤバイ!」
自分の状況を思い出した
どうしよう
厳しい事で知られるうちの会社
やむを得ない事情ならともかく、これはまさに自分の失態
何て会社に電話しよう
下手に嘘ついても、絶対バレる
それに今日の研修は鬼と噂される先輩の同行
「もう…ダメじゃん」
立ち上がったけど再びしゃがみこんで頭を抱えた
「もしかして、新入社員?」
「え?」
「いや、研修とか何とか言ってたから」
どうやら所々声に出てたらしい
「そうです…」
「とりあえず、乗って」
彼は俺の腕を引っ張り上げて立たせると
有無を言わさずに俺を助手席に押し込めた
