
Perfect Romance
第1章 はじまりの唄
渡りに舟
地獄に仏
どうやら俺はこの人に助けて貰えるらしい
男のプライドより、今は会社に残る事のが重要だ
彼に言われた通り会社に連絡し、遅刻する旨だけ伝え、着いてから説明させてください、と言って電話を切った
会社に着くと、彼は受付でさっさと手続きを済ませ
俺も急いで鞄から社員証を出した
まるで自分の会社かのように歩き出す彼の後ろを着いていく
エレベーターで二課のある階を押すと
「二宮くんは黙ってていいよ」
とにっこり笑った
エレベーターが開くと、すぐにフロアが広がっている
「おはようございまーす! 櫻井さん、います?」
一番近くにいた女子社員に声をかけた
「おはようございます。って、大野さんじゃないですか。ちょっと待ってくださいね」
「大野さん」と言うのか、この人
そういえば知らなかったや
女子社員は、にっこり笑うと奥にいる櫻井さんを呼びに行った
ヤバイ
足がすくむ
奥からゆっくり歩いてくる櫻井さんに合わせてダースベイダーの曲が聞こえてくるようだ
「大野さんおはよう…ん?二宮?」
「お…おはようございます」
ガバッと深く頭を下げる
「…4日目で遅刻とはねぇ」
怖い。笑顔なのに全く笑ってないその目
目を合わせたら間違いなく石になる
「まあまあ…ちょっとこっち来てよ」
そんな俺達を見た大野さんが、苦笑いしながら外れにある自販機の所に促した
