
Perfect Romance
第1章 はじまりの唄
櫻井さんと大野さんが並んで歩く後ろを、いたたまれない気持ちで着いて行く
「随分と変な組合せだね。智と一緒なんて」
ん?智?
「だからそれをこれから話すって」
周りに人がいないからか、二人の話し方はやけにフランクだった
あ、そうか。友達って言ってたな…
大野さんが自販機横のベンチに座ると、隣に櫻井さんも腰掛ける
もちろん俺は二人から少し離れて立ったまま
だって櫻井さんの目が怖い
「…で?遅刻した理由は?一緒って事は智が関係してるの?」
有無を言わせない鋭い視線
「あ…あの…っ」
固まってまともに返事もできない
前で組んだ手に力が入る
「ちょっと翔ちゃん…二宮くん、怯えてんじゃん」
くくく…と笑う大野さん
「あの…櫻井さんっ今日は…!」
「あ、ごめん。俺が説明するんだった」
俺が必死に言葉を繋げようとした時に、大野さんの声がふわりと被さった
「俺がさ、二宮くん轢きそうになってさ」
「はぁ?!」
「考え事しちゃってて…気付いたら二宮くんが目の前にいて。慌てて急ブレーキ踏んで間に合ったけどね」
「だ…大丈夫だったの?」
「このとおり。でもね、二宮くん動けなくなっちゃって。そりゃそうだよね。轢かれるとこだったんだもん」
櫻井さんが大野さんを見つめている
「だから、お詫びに送ってきたの」
「どういうこと?」
何だか大野さんが悪者になってる
あれは俺が飛び出したからなのに
「二宮くん、遅刻する!とかどうしよう!とか凄くショック受けててね。…顔見たらそういえば…って思い出してさ」
大野さんが優しく俺を見た
