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Perfect Romance

第23章 Perfect Romance


エントランスに入った時

誰かが集合ポストの前にしゃがみこんでるのが見えた

横には、大きめのボストンバッグ
その顔は下を向いていて見えないけど

何となく “若い人だな“ とは洋服から察しがつく


あんなとこで蹲るなんて、具合でも悪いのかな
……正直あまり関わりたくないんだけど

だけど
見てみぬフリってのは、俺の性格上やっぱり出来なくて


…仕方ない
声だけは掛けよう

で、目的の部屋に送ればいっか


そう決めて、ゆっくりとその人の所に近付こうとして

足が止まった




なんか……
かずに見えるのは、気のせい?

蹲って顕になってる項にも、服に隠れてる体のラインも

そのまま鮮明に残ってる “かず“ なんだけど


って、…間違いない

俺が間違える訳ない



かずだ

今、目の前に蹲ってるのは


会いたくて会いたくて
一瞬たりとも忘れた事なんかなかった

最愛の、人だ



知らず、涙が溢れだしてきた



かずがいる
…俺の前に、帰ってきた


震える足を抑えて、一歩進む

涙で、前が見えないけど
また一歩、一歩と少しずつ近付いていった


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