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Perfect Romance

第1章 はじまりの唄



「社章と、二宮くんの顔が一致したから、だったら遅刻した原因の俺がちゃんと説明してあげようかなと」

「大人なんだから、そこは二宮が自分で言うべきじゃないの?」

再びの鋭い視線に俺はビクッとしてしまう

「す…すみません!櫻井さん!」
頭を下げるしかできなかった

ここでいきなり大野さんが笑いだした

「鬼の教育係に新人くんが言えるわけないじゃん。怖いもん、その顔」
大野さんはそう言ってムニッと櫻井さんの頬を両手で摘まんだ

「いひゃい!」

その光景に思わずポカンとしてしまった
あの櫻井さんが「いひゃい!」って可愛い声出すとか…

櫻井さんが大野さんの手を払う

「もうっ!」
ちょっと赤い顔をした櫻井さんは、コホン、と咳払いをしてから

「二宮、事情は分かったからいいよ」

この場を取り繕うように言った

「本当にすみませんでした!」

とりあえず許して貰ったのは確実のようだ
俺もようやく、少し緊張感が解けてきた

櫻井さんも、普段とは違うリラックスした雰囲気になっている

「凄い偶然だよね…」
見たことのない笑顔

「轢いてたら洒落にならなかったけどね」
大野さんが俺を見る

「本当だよ」

二人が笑ってたから、俺も思わず笑ってしまった


「あ、やべ。俺も会社行かなきゃ!」
大野さんは立ち上がると

「翔ちゃん、午後の研修楽しみにしてるよ。二宮くん後でね」

そう言ってさっさとエレベーターに向かって走って行った

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