
Perfect Romance
第1章 はじまりの唄
残された俺と櫻井さん…
やっぱり気まずい
「あの…本当にご迷惑をおかけしました」
もう一度、深く頭を下げた
「いいって、もう」
今度は本当の優しい顔
座れよ、と促されて少し櫻井さんと離れてベンチに座る
大野さんがいたからかな
櫻井さんの表情が柔らかい
「悪かった」
「え…」
いきなりの櫻井さんの謝罪
「舐められちゃいけないって厳しくしすぎてた」
「いえ、そんな…」
ハイ、凄い怖いです。なんか言えるわけない
「だから、皆俺と一線引いてるんだよなー…」
何だか寂しそうな声
確かに櫻井さんには皆、接し方が固い
けど、仕事に厳しいだけで間違ってるわけじゃない
理不尽な理由でキツク当たる事はしない
たださ、その整った顔の貼り付けた笑顔はマジ怖い
笑顔で…だけど氷のような冷たい目で正論をビシッと突き付けるから、こちらに言い訳の隙を与えない
「櫻井さん…」
「あ…ああ、ごめん。仕事戻ろう」
ハッとしたように櫻井さんが立った
「資料まとめたら、早めに出るぞ」
「は…はい!」
そうだ、と櫻井さんが自販機でコーヒーを2つ買うと
「ほら」
1つを俺に渡してくれた
「え…あっありがとうございます!」
行くぞ、と櫻井さんが先に歩く
その後ろを、ちょっとだけにやけながらついていった
