
Perfect Romance
第6章 言えないキモチ
「…後、相葉さん食べて」
「え、…でも1個しか食べてないよ?」
そうなんだけどさ
喉、通らなくなっちゃったんだもん
ちょっと唇を拭ってくれただけなのに
恥ずかしすぎて、胸が苦しい
「…あんまりたこ焼き好きじゃなかった?」
相葉さんが的外れな事を聞いてくる
「ううん、…さっきのでびっくりしちゃって」
まさかドキドキしてるから、とは言えないから
適当に言葉を濁した
だけど
「ごめんね」
なんて相葉さんが謝ってきて
相葉さんは何も悪い事してないのに
焼き立てだって教えてくれたのを、一気に口に入れちゃった俺がいけないのに
すぐにそうやって自分のせいにする
そこが相葉さんの優しいところなんだよね
まだあまり相葉さんの事は知らないけど
優しさが嘘じゃないのは、分かるよ
「ねぇ、ステージで何か始まるみたいだよ」
ちょうど場内アナウンスが聞こえてきて
…切り替えるのにこれ幸いと、俺は腰かけていたコンクリートから立ち上がった
「あ、うん…行ってみよっか」
「うん、行こ」
そして
移動するからと、飲みかけのビールをお互い飲み干した
