テキストサイズ

キラキラ

第1章 アーモンド

********************************************

J

(最低だ、最悪だ)

あの日から翔くんの顔をまともにみれない自分がいた。
ずっと、自分のうちにおしこめていた思いなのに、あのキスで何かが変わった。
見てるだけで、そばにいるだけで、幸せだったのに。
あの声で名前を呼んでくれるだけで、一緒に仕事するだけで、充分だったのに。

たまらなく欲張りになってる。

もっと俺だけ見てほしい、もっと俺にだけ笑ってほしい。

……もっと触れたい。


挙げ句のはてに、この間は、単なるドラマのキスシーンごときで、翔くんに見られたくない思いから、メンバーにまで変な態度をとってしまった。

(あー……最低)


大野さんのおかげで事なきをえたけど、次も何かやらかしてしまうんじゃないかと、自分に自信がない。


(俺、こんな面倒なやつだったっけかな……)


ため息をついて、今日の仕事の楽屋の扉をあけた。

「……っ」

中にいた翔くんと、ばっちり目があった。

「早いな。珍しいじゃん」

「……うん、おはよう……」

翔くんはいつもの位置で、いつも通り新聞を読んでる。
見回すと他のメンバーは、まだ来てない。

「雅紀は、ロケがおしてて、ちょっと遅れるって。ニノと智くんは、取材終わってからくるってさ」

「あ……そーなんだ」

ぎこちなく笑って、荷物をおく。

二人きりは……まずい。

俺、今、普通にいれる自信がない……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ