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キラキラ

第31章 イチオクノ愛


嬉しくて嬉しくて。
買い物してても、料理をしてても、ずっとニコニコしていたら、にのに呆れられた。


「……そのデレデレした顔どうにかなんない?」


ニコニコしてるだけなのに、にのちゃんにはデレデレとうつるらしい。


……まぁ、ことあるごとに、にのちゃんの頭に触ったり、頬にふれたりして、ベタベタしてるから、照れてるからだろーな、と予測はつく。

触れるたびに、ぽっと赤くなって初々しい反応してくれるもん。


でもさ……許してよ。


「俺、ずっと犬だったからさ、久しぶりににのとこうやって過ごせることが嬉しいんだもん」


豚肉に小麦粉をまぶしながら正直に言ったら、隣でレタスをちぎってたにのが、手を止めた。


「……しんどかったでしょ?」


心配そうに聞いてくるから、まあね、と頷く。
しんどくなかったわけない。
あいつの、妨害も入ったから、苦労もたくさんしたし。

でも……。


「でも、みんな優しかったのは嬉しかったよ。
あんな姿にでもならないと、メンバーに抱っこしてもらう経験なんかできないしね」

「ふうん……」


にのはちぎったレタスをお皿に盛りながら、チラリと俺を見上げた。


「相葉さんさー……俺と二人でしばらく住んだのも覚えてる?」

「もちろん。楽しかったよー」


言いながら、フライパンを熱して肉を投入。
ジャーッと肉が焼ける匂いが食欲をそそる。

その間に用意しておいたタレを混ぜてると、にのが言いにくそうに口をムニムニしてることに気がついた。


「……どした?」

「……全部覚えてるの?」

「?……うん」


歯切れのない言葉に、どうしたんだろう?と思いつつ。
スプーンについたタレに、指をはわせ、ペロリと味見した。


うん、生姜が効いててうまい。


「上出来。舐めてみる?」


何の気なしにスプーンにつけた俺の指をにのの口元にもっていったら、にのが真っ赤になった。


……あれ。

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