
キラキラ
第32章 バースト 8
もはや、俺らの家庭教師となってるかずは、この夏休みにでた俺らの課題を全て把握して、休み前に計画書を作ってくれた。
夏休み前までは、かずの教え子は俺だけだったけれど、俺と同じ学校同じ学年、さらにかずの恋人となった雅紀がこの場に加わるのは、時間の問題で。
二人ともかずの指示するペースで、それぞれの自宅で勉強し、週に何度か、大野家にお邪魔する。
そのときに進捗状況を確認してもらい、分からなかったところを教えてもらう。
そんな習慣を作った。
すると、もくもくとそのスケジュールをこなしてるうちに、俺も雅紀も、例年になく、計画的に夏の課題は終わろうとしていた。
特に雅紀なんかは、かずに会えるという目的があるから、一日部活をこなしてからでも、きちんと夜は家で課題に取り組めたらしい。
鬼講師、かず様々だ。
「……お茶いれてくるね」
残りの一ページを一足先に終わらせた俺は、頭を抱えてる雅紀をおいて、大野家のキッチンに入った。
棚から、かずのレモン色のマグカップを手に取る。
さらに、その横にあるラベンダー色のマグカップ。
これは俺用。
最近、雅紀のマグカップもふえて、それはミントグリーン色だ。
いずれもかずが、同じ雑貨屋で買ってきてくれたものだ。
なんだか大野家の一員になったみたいでうれしい。
アイスミルクティーを人数分入れる。
カウンターには、勉強の合間に食え、と、翔が作っていってくれた焼き菓子がホイルに包まれておいてあった。
ふふ……翔のお菓子って美味しいんだよね。
そっとホイルをあけたら、チョコとナッツのパウンドケーキ。
俺が、前に美味しい美味しいって食べたやつだ。
幸せな気分になりながら、人数分に切り分けた。
端っこの部分をつまみ食いしたら、やっぱりすごく美味しかった。
「はい、おまたせー」
それらをトレーにのせて、リビングにもどると。
かずに顔を近づけようとしてた雅紀が、ぐいっと押し戻されるとこだった。
一瞬目が点になる。
俺の登場に、かずがポーカーフェイスで、ありがとう、と振り返った。
だけど、その耳は真っ赤だ。
雅紀はといえば、いてー……と苦笑いしながら、頬をおさえてる。
もう……イチャイチャすんなっての。
