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キラキラ

第32章 バースト 8


俺は、ミルクティーを飲みながら、心のなかで頭を振った。


……ダメダメ。
このテのことを考え始めると、どこまでもモヤモヤできる自分がいる。


こんな俺の、くだらない想像力をいち早く察知した翔に、いらないこと考えんな、と、この間言われたばかりだ。


いつだったか、俺にはお前だけ、と究極の誓いをたてられたことも……忘れちゃダメだよね。


俺は、とまりかけたフォークを、無理矢理再び動かして、翔の甘いケーキを堪能した。



「潤くん、翔さんと何時に待ち合わせてるの?」


ふいに思い出したように、かずが時計を見上げた。


「えっと……六時」



今日は、めずらしく翔が夕方であがれるらしいから、久々にデートしようって言われて駅前で待ち合わせてる。


あと二時間後には、ここを出発しなくちゃ…。


ちょっとワクワクしながら、頭のなかで、このあとの予定をたてていると、


「言っとくけど。今日の分の課題終わらせるまで、出かけちゃダメだからね」

「え?!」


可愛く微笑んだかずの台詞に、思わず俺はすっとんきょうな声をあげた。


なんつった?!今!!


かずは、すまして続ける。


「当然でしょ。ご心配なく。翔さんに連絡なんかチカラですぐできるからさ、俺」

「マジかよ?!」

「マジよ。俺の役割は潤くんの学力の向上にあるから。それはきちんと遂行させてもらう」


……かずが、本気で鬼にみえてきた。


俺は、呆然としながら、机の上のテキストを手に取る。
かずに、やれと言われてる課題は、あと数学と世界史。


一教科一時間……終わるだろうか。


雅紀が気の毒そうなカオをして俺を見てる。


くっそー!やってやる!!


「頑張って、潤」


うるせーな!!


雅紀に八つ当たりしそうな台詞をのみこんで、俺は頭をかきむしりながら、ノートを開いた。

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