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キラキラ

第5章 hungry

「井ノ原の後輩?」

そんな俺の心中をよそに、その人はその綺麗な瞳で、こちらを見た。

「そうそう。バスケ部の。そっちの茶髪が相葉、こっちの黒髪が櫻井」

紹介されて、あわてて頭を下げる。

「あ……よろしくおねがいします……」

「ふうん…、背高いね」

その人は、ニコッと笑って、俺と雅紀を交互に見て、やっぱりバスケ部は違うなあと、言った。

ドキッとした。

花が開くような笑顔。
ふわりという笑いかたをする人を、俺は初めてみた。

「何見惚れてんだよ?」

「え?いえいえ、そんな」

井ノ原先輩が、いたずらっぽくからかうから、見透かされたのか、と、焦って、首をふる。

「綺麗なやつだろ。大野は」

「……綺麗っていうな」

うるさげに眉をしかめ、井ノ原先輩をみる大野……さん。

「こいつ、季節外れの転入生の大野。俺が案内してんだよ」

……どうりで。

こんな人がもとから学校にいたら、とっくに有名になっていただろう。

知らないわけだ。


「この学校、広くてさ。わけわかんない」

大野さんは、こまった風に肩をすくめた。

敷地だけは広い学校だから、やたらと教室の数は多い。
つけくわえて、渡り廊下や段差で、複雑に校舎同士がつながってるから、慣れるまでは、確かにわけわかんないだろうな。


「今から、部活?」

大きなカバンを背負っている俺らに、大野さんが尋ねる。

「あ、はい」

「このコンビはさ、最高なんだよ。こいつらがボール持つと、バンバン点が入るんだぜ」

「いやいや……そんなこと」

「井ノ原先輩の足元にも及ばないですよ」

得意げに紹介されて、なんだかくすぐったい。
雅紀と顔を見合わせて、照れ笑いする。

「へえ……すごいね。見てみたいな」

「お。行くか?そんなら」

呟いた大野さんに、井ノ原先輩が面白そうにのっかった。

「え?いいの?」

「おお。ほんじゃ、櫻葉、後で顔出すわ」

言って、じゃあな、と言う二人とわかれる。

前キャプテンが顔を出す……。

あの人分かってんのかな。

嬉しいけど緊張するじゃん!

「なあ」

「うん……」

「どーする。キャプテン……?」

「ちょっと部室までダッシュしよ」

現キャプテンの雅紀が、苦笑いして俺の肩をたたく。

カバンを背に頷いて俺も走り出した。






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