
キラキラ
第32章 バースト 8
Jun
翔が送ってきた、大丈夫か、というラインには大丈夫、と返してはいたものの、実は高い熱と頭痛に悩まされ、ここ二日間ずっと寝込んでいる状態だった。
眠ってる時に、翔からの着信があるというタイミングの悪さに、彼の声も聞けてない。
せっかくの誕生日なのにねぇ……と、母さんが作ってくれたお粥もあまり食べられず、今日もぐったりとベッドに沈みこむ一日を過ごした。
たぶん……心のダメージもあるのだろう、と、ぼんやり思う。
だって、元々具合が悪かったらさ、翔に会えなくて当然じゃん……?
がっかりする気持ちも、少しは楽になるよね。
もはや、俺は今の自分の体調までコントロールできてんじゃないか、と妙におかしかった。
ハァ……と、ため息をついて、天井を見上げた。
知念先輩とそのお友達は、無事に翔とお茶できたのかな。
女の子と楽しそうに喋っている翔を想像して、胸の奥がちくんと痛んだ。
苦しくて、痛くて……辛い。
だけど、こんな気持ちってあまりかっこよくない。
ただの嫉妬だもん。
メソメソしてたら、翔に怒られそうだし。
……胸元をきゅっと握りしめて、その気持ちをやり過ごしてると。
カタン……
何か外から物音がして、ふっと目を見開いた。
何の音……?
重い頭を持ち上げ、音のした方を見る。
すると、カラカラ……とベランダの窓があいた。
え、俺、鍵……と思った瞬間、窓の向こうの暗闇から姿を見せたのは。
「……潤」
会いたくて会いたくて……会いたかった。
「翔……」
俺の大好きな人が、困ったような顔で佇んでいた。
