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キラキラ

第32章 バースト 8


空を飛んで会いにきてくれた…?

ヒーローみたいだ。

翔は真っ直ぐに俺に歩み寄ってきて、枕元にゆっくり膝まづいた。

俺は、翔の動きを目で追うことしかできなくて。



「あの……」

「……夜遅くに突然ごめんな」

「ううん……」



久しぶりに聞く翔の声。

どうしよう……嬉しい……

一人ドキドキしていると、心配そうに眉をひそめた翔が、俺の頬を両手で包み込むように触れた。


「……熱いな。大丈夫か」

「……うん」


翔の手がそのまま額に触れる。

本当は、さっきまで頭痛がひどくて、頭が割れるようだったのに。

現金なもので、翔が触れてくれたとたん、すっと痛みがひいた。


嘘みたいだ……。


翔の手のひらが気持ちよくて、目を閉じた。

すると、そっと唇に柔らかなものが重なった。

キスされたとわかって。
嬉しくて、つられて口をあけかけたけど、だめだ!と、慌てて真一文字に引き結んだ。

翔が、唇を少し離し、ふっと笑いながら


「やめんなよ」


と、いうけど、ぶるぶる首を振って拒否。

……うつったらどーすんだよ。

そのまま頑固に口をあけずにいたら、翔の唇が俺の頬にうつり、チュッ……とキスをした。

離れる気配に、ドキドキしながら、そおっと目をあけた。

すると、翔がごめん、と言って頭を下げたから、びっくりして飛び上がった。

急になに?


「なに……いって……」

「俺……おまえの恋人失格だ」

「……どうしたの」


予想外の言葉に面食らう。

知念先輩たちと何か、しちゃったんだろうか。
もしも、やっぱり女の子がいいとか言われたらどうしよう……。


悪い想像で頭がいっぱいになりかけたら、


「今日がお前の誕生日だって、さっき知った。……自分が情けない」


そういって、翔がうつむいた。


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