
キラキラ
第32章 バースト 8
「なんだ、そんなこと……」
いやむしろ言ってないんだから知らなくて当然だし。
会える予定じゃなかったのに、会えた事が俺は嬉しい。
翔の変な様子の原因が、女の子絡みじゃないことにホッとしてる自分がいるし。
……なのに、翔はうかない顔だ。
「そんなこと……じゃねぇよ」
苦笑いして俺の髪の毛をそっと撫でた。
「今日……一緒に過ごしたかったろ……?ごめんな」
「……ううん……どうせ風邪ひいてたし……」
ゴニョゴニョいって肌掛けを口もとまで持ち上げた。
翔の優しい声音に、心がフワフワする。
嬉しい……。
一緒に過ごしたいって言えなかったことを後悔してたのは本当だから。
「考えてみたら俺たち……誕生日の話とかそういうのしたことなかったな」
「そうだね……」
実は、俺はかずとの話の流れで翔の誕生日は知ってたけどね……。
でも、知ったときには既に終わった後だった。
まぁ例え知っていたとしても、翔の受験真っ最中だったし、そんなにゆっくりすごせなかったろうし。
残念に思いながらも、来年は絶対お祝いしようと心に決めたのだ。
そういうと、翔は、ずりーな、それ……と口を尖らした。
「言ってくれたら良かったのに」
「うん……でも、翔が忙しいの分かってたし……」
「バカだな……俺はお前が最優先だって何度も言ってるじゃん」
そういって、翔は俺の枕元に頬杖をつき、俺の顔をのぞきこんだ。
