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キラキラ

第32章 バースト 8


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翔が来てくれた翌朝には、すっかり熱がさがるという、冗談のような体調のもどりかたをした俺は、その日一日静養していたらすっかり元気になった。

もう大丈夫だよ、と、ラインを送ったら、良かったな。と。無理すんなよ、と、返事が入ってきたけど。


……ちょっと不満。


俺はスマホを眺めて唇をかんだ。


じゃあ、会いにいくよ、とか。
こっちこいよ、とか。
ないんだ?


俺は、一刻も早く翔に会いたいけど!


家庭教師は水曜日のはずだし。
夏期講習は昨日で終わったはずだし。
日曜日である今日は翔はなんのバイトもないはずだった。

多分……俺に無理をさせまいとする翔の優しさなんだろう。

だが、あいにくそんな気遣いは無用だよ。

大野家に行く気満々で支度をしながら、今から家行ってもいい?と、うきうきとラインをする。
……だが、なぜか既読にならない。

テンションの高いオッケーのスタンプを期待してる俺は、一向に返事のないスマホを見て、首をかしげた。


……でかけてんのかな……。


いくら俺でも、いきなり大野家を訪れるような礼を欠いたことはしない。
一応、あらかじめ誰かしらの在宅を確認してから、にしてるんだけど……。

翔はもしかしたら、たまたま料理とかしてて気がつかないのかも。

そう思った俺は、かずに、そっち行ってもいい?と、ラインを送った。

すると、すぐに頭に直接かずの声が響いた。


《潤くーん……》

「?かず?」


テレパスの能力で、直で話をしてくる。
かずは、あんまり普段そういうことをしてこないから、逆に驚いた。



《あのさ、お粥が固いんだけどどうしたらいーの?》

「……え?」

《智さんに言われたとおりに炊いたんだけど、すっごい芯があって固いの》


……お粥?


「ちゃんと吸水した?」

《きゅうすい?》

「火にかけるまえに、30分以上、お米を水につけた?」

《ううん。そのまま炊いた》

「だからだよ……」


ってゆーか!!!


「なんでそんなこと聞くの?」

《あ……翔さんがさ、今朝からダウンしちゃって。智さん休日出勤だし、俺が御飯つくってるんだけど……》


耳を疑った。

かず、それを最初に言って!!!


「すぐいく!」

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