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キラキラ

第32章 バースト 8


えっと……


自爆とはこのことか。


抱きしめてあげる、なんてよくも調子にのって口走っちゃったもんだ。

でもって……よくも翔が頷いたもんだ。


俺が……翔をだきしめるの??


俺は心臓が、ドキドキと高鳴り出すのを感じた。

なーんちゃって、なんて、もう既に言えない雰囲気。


だって、翔が、さあ おいで、と言わんばかりに布団をあげてみせてる。


そこに入れと?


「あの……」


ダメだ……緊張してきた。

俺が、もじもじと躊躇してると、翔が辛そうに顔を歪めた。


「早く……寒いって」

「あ……うん」


慌てて頷いた。

翔は、ほんとに寒くて、そこに邪な考えなど毛頭ないということに気がつく。

俺は、腹をきめて、もぞもぞと翔の横に滑り込んだ。

布団のなかは、翔の体温でそこそこ暑い。
なのに、小動物みたいに丸くなって震えてる翔は、ほんとに具合が悪いんだと分かった。


「……こっち来て」


俺は腕を伸ばして、翔の体を抱き寄せた。

いつも俺が翔にしてもらうのを真似して。
片手で背中をささえ、俺の胸に翔の頭が来るようピタリと密着する。

そうしてゆっくりと彼の広い背中を擦った。


元気になあれ……元気になあれ……


心で願いながらしばらくそうしてると、翔の強張った熱い体が、ふうっと弛緩してくるのがわかった。
やがて、少しずつ震えもおさまった翔が、頬を俺の胸にすりよせてきた。


やば……超可愛い!


いつもとは全然違う翔。
絶対しない仕草や、声音に、俺は不謹慎にもときめいてしまう。

……所謂ギャップ萌えとでも言おうか。


俺は、ドキドキしながらも、翔の背中を擦り続けた。


「……あったけーな…」


呟くような言葉。


「……よかった」


囁いて、なおも背中を擦ってるうちに、静かな寝息がきこえてきた。

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