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キラキラ

第32章 バースト 8


Kazu



……潤くんが戻ってこない。


俺は、時計を見上げた。

翔さんの様子を見てくると、潤くんがリビングをでていって、すでに小一時間たってる。

ふたりの時間を邪魔しちゃいけないと思ってたけど……そろそろ気になるなぁ。

卵をあとで落とすといってた、雑炊も、なんだか水気がなくなってきてすごい量になってきて、なんか怖いし。

せっかく来て、手伝ってくれたんだから、潤くんに紅茶くらいご馳走したいし。


廊下をじっと見つめる。

翔さんの部屋からは、話し声もなくて、なんだかこの家全部がしんとしてる。


……ちょっと様子みてみるか?


俺は、なぜだか忍び足でそっと翔さんの部屋の前まで行った。


……まさか、翔さん、具合悪いくせに、潤くんのこと襲ったりしてないよね。


あり得ない話じゃないよなぁ……、そのときは即逃げよう、と思って、小さくノックして返事を待つが、中からは物音ひとつしない。
扉に耳をあててみたが、……やらしい声もしない……気がする。


「……潤くん?」


静かに扉をあけた。



すると、潤くんが翔さんの体を抱きしめて、すうすう寝ているのが目に入った。
翔さんは翔さんで、丸くなって潤くんにすり寄って眠ってる。



……珍しい光景だ。



俺は、クスリと笑って、また静かに扉をしめた。


これは、自然に起きてくるのを待った方がいいかなぁ……。

キッチンに戻って、恐ろしい量の雑炊を眺めて。



……相葉くん、呼ぼっかな……



なんだか、恋人に会いたくなってきた自分に苦笑いながら、俺は、自分のぶんのお茶をいれるために、マグカップを手にとった。




今度こそfin.(笑)

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