テキストサイズ

キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


ミヤが俺から離れるなんて、出会ってからこっち初めてのことだった。

いつでもどこでもミヤの気配を感じながら生きてきた俺には、このたった一人の感覚が寂しくてしょうがなくて。
部屋にいてもなんだか手持ち無沙汰で、ぷらぷらと城内をさ迷い歩いてるうちに……いつのまにかジュンイチの部屋をノックしていた。

六人いる俺の兄たちのなかで、一番年が近くて話しやすいのが、この六番目の兄のジュンイチだ。

背はそんなに高くないが、鍛えているから筋肉は隆々。
六人のなかでも、特に甘いマスクで、シャイな彼は……そういや、浮いた話ひとつきかない。

一度、お兄様は結婚したい人はいないのか、と尋ねたことがあるが、彼は笑って、

「まず、長兄が落ち着かないとな」

と、一の兄であるマサユキに配慮を示し、うまく、ごまかされた。

結局のところ、女はめんどくさいという性格だというのが、薄々わかってきたのだが。

……俺にはいつも優しい兄だ。





俺は、長椅子にお行儀悪く寝そべり、呟く。


「ねー……お兄様、今日ここで寝てもいい?」

「バカ、ダメだ」

「なんで?兄妹じゃん」

「一緒に寝る年齢じゃないだろう」

「いーじゃん。一緒のベッドで寝る訳じゃないし。私は気にしないよ」

「俺が気にする」

「ちぇー……」



半分本気だったから、ガッカリだ。

俺がちょっとしょんぼりしてると、ジュンイチは、俺の隣に腰かけた。


「面白いな、おまえは。ミヤがいないとこんなに元気がないんだな」

「……つまんないもん」

「いい人はいないのか。デートでもなんでもしたらいいじゃないか」

「いないもん」


口を尖らせて、膝を抱えて座った。
髪の毛が、サラサラと流れて俺の顔を隠す。

ジュンイチがポンポンと俺の頭を優しくたたいた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ