
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
そのときは……
「そのときは、うん……まぁ。そのとき考える」
うそ。
実はもう決めてる。
然るべきそのときは、城を出ると決めてる。
ミヤとこの国を出て、どこかの国に移住しようと思う。
気持ちのない結婚なんてさせられるくらいなら、少々危険でもミヤと生きていくことを選ぶよ、俺は。
……なんて、誰にもいったことないけど。
「おまえが望めば、どんな国の王子でもオッケーすると思うがな……」
「……そんなことないよ。買い被りすぎ」
もっとも、俺の地位をねらってくる輩もいるだろうけどね。
それから、その話はあんまりしたくないとばかりに、だんまりを決め込んだ俺に、ジュンイチは、フウッと、ため息をついた。
そして、話題をかえるように、再び俺の頭をポンポンとたたいた。
「……まぁ、とりあえず、マサユキに早いとこ身を固めてもらおうか」
「……そうだね」
女好きの、プレイボーイの長兄は、今頃くしゃみのひとつでもしているだろうな。
上目使いでジュンイチの顔を見て。
二人でくすくすと笑いあった。
*********
「ご無沙汰しております、サトコ様」
何故だか俺らのディナーの席にまぎれこんでる茶髪の男。
相の国のマサキ王子。
人のよい笑顔と穏やかな物腰は、母上たちからも絶大な支持を得ている。
こうやって一緒に食事に誘ってもらえるくらいに。
おそらく、俺の結婚相手に迎えるならばこいつだ、と、候補者の筆頭にあがっているはず。
でも、あいにく、俺とマサキはライバルなんだよね。
まあ、ライバルっつか、出来レース的な関係だけど。
俺は席につきながら、ちらりとマサキを見上げて口を尖らした。
「……なんでいるんですか」
「ふふ……。俺の母上からの預かりものを届けにきました」
ひそひそと言葉を交わす。
マサキは周りに視線をめぐらし、首をかしげた。
「……ミヤさんは?」
「里帰り中」
「え?」
「母親方のおばあさまが、具合が悪いそうで、一週間ほど留守にするって、出ていった」
マサキはみるみるガッカリした顔になった。
