
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
「……本気ですか」
ショウが唖然として呟いた。
ジュンも険しい顔をして髪をかきあげて黙っている。
ショウとジュン。
どちらかを国まで送る、という名目で一緒にこの国を出たい、と。
そしてその後、俺は大の国に帰らず、そのままミヤのもとにいく、と。
もちろん公式訪問ではなく。
俺、個人として。
そう言ったら、二人ともが、難色を示した。
……しょうがない。想定内だ。
俺は、ここで負けたらダメだと思って、強い顔で頷いた。
「本気です」
「でもっ……」
なにか言いかけたショウを制し、ジュンが真剣な眼差しで俺を射るように見つめた。
今までの、チャラチャラした印象のかけらもない表情。
……怖い。
俺は、怯みそうになる心を奮い立たせ、その瞳を全力で受け止めた。
「……サトコさま」
ジュンはその鋭い眼光そのままに、静かに厳しい言葉を紡いだ。
「……本当に分かってますか?身分を隠して他国に入国するということは、王族としての身の安全の保証を放棄するのと一緒なんですよ」
「はい」
「付きのものもつけないで、お一人で?……冗談じゃない。何かあったらどうするつもりですか」
「大丈夫です。身をかくしながら行きます」
「……世の中は善人ばかりではないのですよ?」
「分かってます」
俺がきっぱりと言い切ったら、ジュンは苛立ちをおさえきれない顔で、分かってない……と、首をふった。
ショウが心配そうな顔で俺とジュンを見比べてる。
ジュンは、はぁ……と深いため息をついて、吐き捨てた。
「……ミヤのためにあなたがそんな危険をおかす必要などないでしょう」
「…………今、なんと?」
これは聞き捨てならなかった。
